Adobe Illustratorで作成したデザインを、印刷用の入稿データにするための基本の「き」
実際に印刷物を注文する際は、注文する印刷会社のガイドラインをよく確認してから入稿データを作成してください。
カラーモードは必ずCMYK
まずは基本中の基本、印刷物のデザインをする際はカラーモードをCMYKにして制作します。

編集中のドキュメントのカラー設定を確認したい場合は、ファイル>ドキュメントのカラーモードで確認できます
トリムマーク(トンボ)の作成
入稿する印刷会社によってトリムマークが必要な場合があります。
ほとんどの印刷会社がトリムマーク入りのテンプレートを提供しているので、ダウンロードして使用しましょう。
一般的なトリムマークの作り方はこちら

まず印刷物と同じサイズの長方形を作成します

先ほどの長方形を選択してオブジェクト>トリムマークを作成

このようにトリムマークが作成されます

画像のような日本式のトンボが作成できない場合は、Illustrator>環境設定>一般で「日本式トンボを使用」にチェックが入っているか確認しましょう
塗り足し部分はしっかりと出す

塗り足しは印刷物の断裁の際に、カット部分がずれて完成品のフチに余白が出ることを防ぐためにおこないます。
画像の赤線部分が塗り足しエリアです。
背景のベタ塗りなどをあえて赤線まではみ出させます。

仕上がりのフチに余白を出したくない部分は必ず塗り足しを忘れずにしましょう。
ロックを外す
制作過程でかけたオブジェクトやレイヤーのロックを外します。

オブジェクト>すべてをロック解除

レイヤーのロックはウインドウ>レイヤーでレイヤー名の横に表示されている鍵マークをクリックして解除します
不要な要素がないか確認
制作中に残ってしまったパスやテキストボックスなど、不要なデータを洗い出して消します。

control(⌘)+Aで全体を選択し、見えていない不要なデータを見つけたら削除
画像の処理
見落としがちなのが画像。まずは下記をしっかりチェック!
- 完成サイズに対して画像サイズは適切か(小さすぎない・大きすぎない)
- 画像のカラーモードはCMYKになっているか
- 画像の解像度は適したものになっているか
印刷物で使用する画像は、素材サイトからダウンロードしたまま使用、撮った写真をそのまま使用は絶対NGです。
Photoshopでの画像の処理の仕方
私はいつも使用する画像をPhotoshopで処理してから使用します。

Photoshopで画像を開き イメージ>モードでカラーをCMYKにします

カラーの処理を終えたらイメージ>画像解像度で解像度とサイズを調整します
ダウンロードする画像やスマホで撮影した画像はサイズが大きいことが多いので下記の手順で処理します
①再サンプルのチェックを外す
②解像度を300〜350と入力(印刷物はこのくらいの解像度が必要です)
③再サンプルにチェック
はじめに再サンプルのチェックを外しておくことで、解像度に合わせた画像サイズになります。
画像を埋め込む
通常Illustratorでは配置した画像はリンク画像という状態になっています。
デザイン作成時はリンク画像でかまいませんが、入稿時には埋め込み画像に変換して画像がリンク切れになり表示されないというトラブルを防ぎます。

こちらが通常のリンク画像
ウインドウ>リンクで配置した画像一覧が確認できます

埋め込みたい画像を選択し、右上の三本線>画像を埋め込みをクリック

埋め込み画像には赤枠のようなアイコンがつきます
psd形式の画像の埋め込み

Photoshop形式(.psd)の画像の埋め込みの際は、複数のレイヤーを1つの画像に統合を選択して埋め込みを完了してください
psd形式の透過画像の埋め込み
まれにPhotoshop形式の透過画像を埋め込むと、画像の周りに黒いフチのような汚れが出ることがあります。
その場合はあらかじめ画像をpngなどの他の透過画像形式にしておくか、埋め込み後の画像をIllustratorにてラスタライズしてください。

☆ラスタライズは必ず埋め込み後に オブジェクト>ラスタライズ
フォントをアウトライン化する
使用したフォントが崩れないようにフォントをアウトライン化しましょう。

このようにフォントデータをパス化することでフォントの形を保ちます
テキストを選択し書式>アウトラインを作成で完了です
エンベロープのアウトライン化
エンベロープを使用したフォントは後からアウトライン化できない場合があります
見落とすとデザインと完成品が別物になってしまうので注意しましょう

エンベロープを使用したテキストを選択し、オブジェクト>エンベロープ>拡張
もしくは事前にアウトライン化したテキストを使用してエンベロープを適応させましょう
グラフのアウトライン化
Illustratorのグラフツールで作成したグラフ上の数値も見落としやすい部分です

グラフを選択しオブジェクト>グループ解除
テキストデータになっている数値部分を選択して書式>アウトラインを作成でアウトライン化しましょう
パターンのテキストをアウトライン化

画像のようにテキスト入りのパターンを使用する場合は、パターン化する前にアウトラインをかけておきましょう
オーバープリント設定
オーバープリントとは色を重ねる印刷方法ですが、設定によって思わぬ結果になってしまうことがあります。
基本的にはOFFにしておくことを推奨している印刷会社が多いです。

例えば上の画像のように、重ねることで色が混ざったように見えてしまうケースも

画像以外の要素を選択し、ウインドウ>属性でオーバープリントのチェックを外しましょう
詳しい設定は注文する印刷会社のサイトなどで確認してくださいね